アニスを使った「パスティス」とは

南フランスの特産品
パスティス

 今回は、「マルセイユの代名詞」と言える「パスティス」を紹介していきます。とんでもなく変わった味なので苦手な人も多いと思いますが…とにかく見ていきましょう!

さて、早速、パスティスとは何なのか?ということですが、アニスを使ったリキュールのことです。沢山の方が既に詳しく書いておりましたので、ここでは簡単に説明します。

パスティスとは

マルセイユで飲まれているお酒のことです。原料は一般的に、アニス、フェンネル、甘草、コリアンダーから構成されています。アルコール度数は40度以上でウォッカやテキーラと同じくらい高いのですが、現地人はペタンク(パターゴルフのようなスポーツ)のお供として真昼間から飲んでいます。アニスの味がくどいため、初めて口にする際には、眉をひそめることとなります。因みに、水で割る場合はパスティス1に対して5〜7くらいがちょうど良いと言います。

パスティスは水を注ぐとこのように白く濁ります。

基本のメーカー

リカール最も知られているのはペルノ・リカール社(仏:Pernod Ricard S.A.)で、日本にも東京・大阪に営業所を持っている世界的酒造メーカーです。現在は合併しておりますが、元々はペルノ社とリカール社に別れておりました。二社とも、アニスを使った食前酒を扱うメーカーだったので、味が折り紙つきなのは容易に想像がつきます。リカール(仏:Ricard)、ペルノ(仏:Pernod)の他に、パスティス51(仏:Pastis51)が有名です。ペルノは、含まれている甘草が僅かなため厳密にはパスティスではありませんがよく混同されます。

カサニスコルシカ島で誕生したメーカーです。アニスシード、アニスエトワール、甘草を使い、90年以上に渡って受け継がれる秘伝のレシピを元に製造されています。軽やかで華やかな香りとフレッシュで繊細なアニスを存分に感じるパスティス・ド・マルセイユとなっています。公式HPには、パスティス:水=1:5〜7の比率で割ることがお勧めされています。

ジャノ 1920年に売り出されて以来人気が衰えることのないパスティス・トラディション45°(仏:Pastis Tradition 45°)は、ヨモギ属の植物と香辛料、甘草を3週間以上漬け込んで製造されます。また、同じく外せないのがパスティス・ブルー(仏:Pastis Bleu)という商品で、鮮やかな空色が特徴のパスティスです。甘草の味が口内に長く留まり、気分を爽やかにしてくれます。他にも、カルダモンが入ったものや、オーガニックなパスティスも取り扱っています。

ベルジェベルジェ(仏:Berger)のパスティスは、戦後の1947年に誕生しました。一般的なパスティスに比べて、クリアな色をしています。そして、僅かにアニスとグローブの爽やかな心地よい香りがします。

クリスタル・リミナナ:有名な商品にアン・マルセイエイズ(仏:Un marseillais)と呼ばれるアルコール度数45°、正真正銘の「パスティス・ド・マルセイユ」があります。これまた、秘伝のレシピに基づいて作られており、清涼感となめらかさを兼ね揃えたお酒です。公式HPによれば、お水で割った後に氷を追加する事が美味しいパスティスを味わうポイントだと言います。

デュバル220年以上の歴史を持つ由緒正しい製造メーカーであるデュバル(仏:Duval)。レモン色をしたパスティスは、軽やかで調和のとれた風味を持ち合わせています。

(左)ジャノのパスティス・ブルー(Pastis Bleu)(右)ルー・フェリーブル(Lou Felibre)←マルセイユのパスティスです。

パスティスを使ったカクテル

パスティスは、リキュールなのでカクテルにも使われます。例えば有名なものでは、アーモンドシロップと合わせて作る「モレスク」というお酒があります。(正確には、アーモンドシロップに似たオルゲートシロップが使われます。)では、他にどのような組み合わせがあるのでしょうか?以下をご覧ください。

パスティス&ミントシロップ

ペロケ(仏:Perroquet)
パスティス&ミント
また、ミントシロップの代わりにGet27を加えたものをペロケ・ロイヤル(仏:Perroquet Royal)、Get27*&ミントシロップ&ウォッカ(水なし)をペロケ・ソバージュ(仏:Perroquet sauvage)と呼びます。Get27 は、ミントリキュールの事です。

フイユモルト(仏:Feuille morte)
パスティス&ミント&ザクロ
因みに、この名前はフランス語で「落ち葉」という意味ですね。

パスティス&果実シロップ

ルル(仏:Rourou)
パスティス&苺

コルニション(仏:Cornichon)
パスティス&バナナ
「コルニション」は、小さいきゅうりのピクルスの事ですが、なぜ、このカクテルの名前がこれなのかは謎です…。

パスティス&お酒

ストップトゥー(仏:Stoptou)
パスティス&ピコン
ピコンというオレンジとハーブの苦いリキュールと混ぜ合わせたカクテルです。「ストップトゥー」は、リコリスのお菓子の名前の事です。

トロンソヌーズ(仏:Tronçonneuse)
パスティス&ビール

パスティス&その他

マゾー(仏:Mazout)
パスティス&コーラ
これは飲みやすそうですね。他には、「ペトロル(仏:Pétrole)」や「グォドロン(仏:Goudron)」と呼ばれたりもします。

その他

この他にも実に様々なカクテルが存在します。
✳︎「=」以降は、パスティスと割るものです。

・トマト(仏:Tomate)=ざくろ
・ソニエー(仏:Saunier)=グレープフルーツ
・リモネット(仏:Limonette)=レモネード
・サゼラ(仏:Sazerac)=ウィスキー(ライ麦)

パスティスを味わう(東京&パリ)

東京で飲む

<BISTRO LE GOURMAND(ル グルマン)>
パスティス・・・「パスティス51」、「ペルノ」
こちらは、フランス料理のビストロです。鴨のコンフィーやムール貝が美味しそうです…
住所:東京都渋谷区恵比寿西1-3-1
電話:050-5597-2497
営業時間:(月)〜(土)11:30〜15:00、18:00〜23:00(22:30L.O)定休日・日曜日
ランチメニュー:あり

<アニヴェルセル カフェ>
パスティス・・・「リカール」、「パスティス51」、「アンリ・バルドゥアン」
こちらは、ワンプレートタイプの食事を提供するカフェです。
住所:東京都港区北青山3-5-30
電話:050-5872-7862
営業時間:(月)〜(日)11:00〜20:00(フード19:00L.O、ドリンク&デザート19:30L.O)定休日・なし
ランチメニュー:あり

パリで飲む

最後に、パリでパスティスを堪能できるお気に入りのお店を紹介します。パリ旅行で、南フランスの雰囲気も味わいたいという方にもオススメです。

<Chez Janou(シェ ジャノ)>
パスティス・・・80種類以上
住所:2 rue Roger Verlomme 75003 Paris
電話:01 42 72 28 41
営業時間:(月)〜(金)12:00〜15:00、19:00〜00:00
(土)(日)12:00〜00:00 定休日・なし
ランチメニュー:あり

私

ここは、南フランス料理を提供しているレストランで、パスティスも豊富に取り揃えられています。全て1杯5€なので気兼ねなく選べます。そして、手の込んだお料理は何を頼んでもハズレがありません。中でも、ローズマリーで味付けされた合鴨肉は絶品です。

メニュー:合鴨肉のローズマリー仕立て(仏:Magret de canard au romarin)

お家で楽しむ(パスティス&カクテル用シロップ)

パスティスがクセになってしまったという上級者様は、是非お家にストックしてみてはいかがですか?

パスティス

リカール社・リカール

リカール社・パスティス51

カクテル用のシロップ

ペロケ(仏:Perroquet)用のミントシロップ&Get27

ストップトゥー(仏:Stoptou)用のピコン

まとめ

いかがでしたか?今回は、日本では、よく知られていないパスティスの基本のメーカーとカクテルを主に紹介しました。最初は美味しいと感じませんが、いつかクセになる日が来る…ことでしょう。きっと!この記事が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

参考資料

カクテルの参考:aujourd’hui j’ai appris…, glou-glou.fr
イラスト:kaeluchan


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