マルセイユのゴッホ展

日常のこと

 8月の終わり、少しだけ体調が良くなかったのでクリニックに行ってきた。こちらの医療制度では、まず、かかりつけ医に行き簡単な検査をする。そこから専門家医に出向く必要があれば脚を運ぶという流れだ。バカンスのこの時期は、空いている医者も少なく、やっていても助手に任せていることが多い。

採血をするだけだったから、ものの15分程で終わった。体調が悪いと言え風邪とかそういった類のものではなかったからその日することが無くなってしまった。じゃあ、ということで夫が前から興味のあったゴッホ展に行くことにした。マルセイユにそんな美術館はあったかな。と思っていたら、なんともゴッホらしさがまるで無い廃屋のような場所にたどり着いた。外を一周しても、ペンキの落書きがどこかしこになされている。外の入り口を通って体育館のようなところに入るとチケット販売所があって、そこから中へと続く。

 ゴッホ展はおもしろいものだった。厳かな美術館とは違って、アーティストのポップアップストアのような感じだ。うまくスクリーンを使ったりサイズを巨大化させたりして、ゴッホの絵画を3Dにした作品が展示されていた。

これは、ファンゴッホの寝室。なんと普通の部屋のサイズで立体化されている。

ここは一つの大きなスペースを使って壁と床一面にゴッホの作品が映し出される。椅子に座りながら、流れる絵画を見るだけなんだけど、広いスペースに360度囲んだスクリーンを使っているから体ごと絵画を体験できて楽しかった。

最後の展示はVRだった。スクリーンとは違い脳内で別世界へ行けるのは本当に素晴らしい。

いくつかシーンはあったけどローヌ川の星月夜はなんとも美しかった。パリにいた頃、夫と夜のローヌ川沿いを歩いたものだが、実際の川は美しさよりも汚れや浮浪者や暑さや寒さで特に印象的に残っていないのだ。だが、このVRで覗いたゴッホの世界は穏やかな星降る夜空が永遠と続き綺麗だった。

それと同時に、VRが更に更に進化したら亡くなった人の声も仕草も全て同じ複製体と懐かしい場所で笑ったり抱き合ったりすることができるようになるのだろうなと思って私は少し嬉しくなった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました