マルセイユの今
レイプドラッグGHBの現状と救世主の登場
このほど、フランスのプロヴァンス地方では、
行政からドリンクに付けるキャップが無料で配布されることとなった。
Withコロナの日常
コロナの脅威から解放されつつあるフランスでは、ノーマスクにキスの文化と、パンデミック以前の生活を送る人々が増えている。そんな変化の中で、この夏の楽しみといえば、やっぱり家族や友人とひと時を共にすることだろう。
平穏だけではない夜の世界
街の活気が戻ってきた一方で、住人達が恐れているものがGHBの存在である。通称「デートレイプドラッグ」と呼ばれ、フランスでも多数被害が報告されている。よくある手法として、目を離した隙に、自分のグラスに薬物を入れられる。GHBを摂取した者は、ごく少量であるにも関わらず昏睡状態に陥ったり、体が麻痺したり、最悪の場合は、死に至る。
街で挑むドラッグ対策
この状況を打開する為、フランスで開発されたものが、「ドリンクウォッチ(drinkwatch)」という商品だ。使い方は、シンプルにグラスの上から被せるだけ。シリコン製で、全てのサイズのグラスに利用できるのも便利だ。また、繰り返し使えるという点は、環境にも配慮している。
そして、マルセイユも含まれているプロヴァンス地方では、バーやクラブ、フェステバル会場などのお酒を取り扱っている施設に、行政から無料でキャップが配られることとなった。配布数は、現在約40万個に上る。この取り組みは、薬物混入を防ぐことだけでなく、性犯罪への対策や性暴力の数を減らすことを目的としている。
被害者の体験
インスタグラムには、マルセイユで起きたGHBの体験談が#balancetonbarのタグと共に多数シェアされています。
2018年の8月、21時頃に私は友人とお店を訪れました。 お酒を頼んでいる間、一人の男性がこちらをジロジロと見ていたのを覚えています。 そしてすぐに、彼は私の後ろにやってきました。 二口ほどお酒を飲んだ後、 私は友人にもたれかかりました。この時のことは、立ちくらみ以外覚えていません。 幸いなことに、近くにいた警備員さんが店外に連れ出してくれました。 外のテラス席で休み、数回嘔吐を繰り返した後、 友人が連絡し、迎えにきてくれた彼氏と帰宅しました。 翌日に検査をすると、GHBが体内から発見されました。
R2 MARSEILLE 12月 26,日より
二週間前、私は三人の女友達とバーに行きました。(一人は、男性連れでしたが彼のことは知りません。) この日は、一つのボトルをみんなで分けることにしました。 そして、私と二人の女友達は、ダンスをしに席を外しました。 少し酔ってはいたものの、特に問題なく、とても良い夜を過ごしていたのです。 異変が起きたのは席に戻って、残りのボトルに手をかけた時でした。 気づくと、私たち三人はテーブルで眠っていました。あのお酒を飲んでから10分経ってのことでした。 目を覚ました後、口から泡を吐きました。 誰かに絡まれる前に私たちはその場から逃げ、無事に家に帰ることができたわけですが、 帰宅後にひどい症状に襲われました。 何度も叫んだり、動けず、寝返りさえもうてませんでした。 吐き気が押し寄せ、ぐるぐると目が回り、理由もなく泣いていました。 今思えば、ダンスをしている間に誰かがGHBもしくはなんらかの薬物を私たちのグラスに入れたのだと思います。 そう思うのは、席に戻った時、知らない男どもが私たちに向かって 「ほら君たち、ボトルの中にお酒がまだ残っているよ。」とわざわざ言ってきたからです。
L’EXIT marseille 2月19日より
私はフランスに住んでいるアメリカ人です。 週末、彼氏と一緒にマルセイユを訪れたときのことです。 SHAMROCKというバーにラグビーの試合を見に行きました。 3月19日土曜日は、フランス対イギリスの試合でしたからね。 そこでは、数人の女性達と知り合い喋っていました。 しばらくして、私はトイレに行くため席を外しました。 この時、グラスは、みんながいた場所に置いたままです。 私が戻った時、一人の男性が「これは君のドリンクですか?」と尋ねてきたので 私は「ありがとう。」と言って、グラスを受け取りました。 少しして、バーを出ましたが、なぜこの時一人だったのかは憶えていません。 そして、私は、旧港に落ちてこの日を終えました。
SHAMROCK Marseille 4月2日
数人が私を水の中から引き上げるのを手伝ってくれましたが、私は終始混乱していました。 彼氏も怯えていました。 彼は私がどこにいたのか全く知りませんでした。 どうやら私は何も伝えずに店を去ったようでした。 翌朝、私は7時間も嘔吐を繰り返しました。 何が起こったのか全く理解できませんでした。 私は自分の体を分かっているし、水の中に飛び込むことなどしたことがありません。 特に飲み過ぎたわけでは決してないのです。 だけど、眩暈がしてバランス感覚を失いました。 とても恥ずかしかったし、世間知らずもいいところだと思いました。 ネットで検索すると、それがGHBを摂取したことによる症状だと解りました。 そして、過去の事例を調べている中であなた方のページに行きつきました。 ちなみに、この日はお財布も無くしています。 今となっては、男性が私に尋ねてきたことも、私のグラスだったのかも全く分かりません。 彼がどのような容姿をしていたかも憶えていません。 たった1週間前のことなので、私はいまだに動揺を隠しきれないでいます。
まとめ
日本では、どこか遠くに感じる薬物ですが、フランスにいると、その被害の恐ろしさを身近に感じます。例え自分が望まなくても、こうした悪意のある攻撃を笑顔で仕向ける人間がそこら中にいる事を知らせる為、今回この記事をシェアしました。ご参考になれば幸いでございます。
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