南仏プロヴァンス料理第3弾は、エルブ・ド・プロヴァンスを使った『ティアン・プロヴァンサル』という料理です。トマトと茄子とズッキーニで作るこの料理は夏に作りたい一品です。今回は、気分を上げるために一足お先に作ってワインと一緒に楽しみます。
エルブ・ド・プロヴァンスとは
プロヴァンスで採れるハーブを組み合わせたミックスハーブのことです。古代、香辛料貿易によってエジプトからマルセイユにハーブが伝わりました。以降、地域一帯で栽培が行われ、医療や料理に欠かせない「重要なもの」となって地域に根付いていきます。今日では、ブイヤベース、アイオリ、パスティスと並び、プロヴァンスを象徴する味となりました。一般的には、魚や肉にまぶし香りをつけたり、シチューに入れたり、オイルに混ぜて料理に風味づけをする形で使われます。
どんなハーブが入っているの?
タイム、タイムセルフィーユ、マジョラム(シソ科)、オレガノ、ローズマリー、バジル、チャービル、エストラゴン、ラベージ(セリ科)、セイボリー、セージ、月桂樹、フェンネルで構成されるミックスハーブです。
私がフランスで使っていた商品は、タイム、ローズマリー、セイボリー、オレガノ、 Hysope(地中海で採れる植物で分類は、シソ科。肉や魚のにおいを消し、果物や野菜の味を味をひた立たせてくれるとのことです。日本では、ハーブティーに使われています。)で作られていました。
日本で買えるエルブ・ド・プロヴァンス
GABAN
ハーブは、(タイム、ローズマリー、セージ、フェンネル)が入っています。
甘みと苦味が特徴的なフェンネルは魚の臭み消しに使われることが多く、
一方で、爽やかな香りを放つセージは肉料理や乳製品に適しています。
私はここに、オレガノとバジルを加えて料理に使っております。
ゾネントア SONNENTOR
オーガニックのハーブです。
中には、(タイム、オレガノ、バジル、ローズマリー、ラベンダー)が入っています。
ハーブを栽培している農園では、化学肥料や農薬を一切使っていません。
また、収穫は手摘みで行われています。
手摘み収穫の良いところは、未熟なものや虫に喰われた葉を分別できることです。
こうすることで、品質の高い葉だけを収穫することが可能になります。
一方で、未熟な葉は十分に成長することができます。
手摘みは大変ですが、種を取らずに済み、土もきれいなまま保てるので良い事づくしなのです。
代用するには?
さて、家にエルブ・ド・プロヴァンスが無く、入手も不可能な時はどうしたらよいのでしょうか?
☞ そんな時は自分でハーブを混ぜ合わせて作りましょう。
そもそもミックスして作るハーブなので複数のハーブをご自分で配合してしまえばよいのです。
フランスの国立原産地品質研究所(INAO)が推奨しているバランスはこちら☟
- ローズマリー 26%
- セイボリー 26%
- タイム 26%
- オレガノ 19%
- バジル 3%
そして、今回は、エルブ・ド・プロヴァンスを使ったレシピも紹介いたします。
ちょこっとレシピ「ティアン・プロヴァンサル」
今回は、フランス人シェフAnne Reverdyさんのレシピを参考にしました。CAP(国家資格)を修得後、長年に渡り、料理人のプロとして活躍してきた方です。彼女の料理を食べた家族や友人からレシピをブログにあげてほしいと懇願されたことで、ブログに多くのレシピを綴っているそうです。
美味しく仕上げるコツとして以下の5点を説明しています。
- 野菜の風味を良くするために容器の底にニンニクとオリーブオイルを塗ること
- 野菜から溶け出す旨み(汁)が飛ばないように良く詰めて並べること
→汁は、野菜に火が良く通り、柔らかくする働きを持っている為 - 低温でじっくりと焼くこと
→オーブンで焼くラタトゥイユなので香りや風味をよく混ぜ合わせる為 - 湿度のある状態で焼くこと
→予熱段階で、お湯を張ることでスチームオーブンの役割を果たす
こうすることでスチームオーブンと同じくらい均質でとろける食感を生み出せる - 耐熱容器は土製の素焼きでできたものを使うのが理想
作った感想
アドバイスにもあった通り、底に塗ったオイルとニンニクが野菜に風味をもたらしていました。
また、スチームで焼いたので、見た目に反して柔らかかったです。ハーブの味が一人で目立つ事なく野菜の甘さとニンニクの香りとともに味を作っていて美味しかったです。
そして写真中央が、『ティアン・プロヴァンサル』と『ラタトゥイユ 』です。材料が余ったので作ってみました。『ティアン』の良い所は、オーブンに入れてしまえば待つだけでOKな所。一方で、『ラタトゥユ』は、日の通りが早いのですぐに食べられる所ですね。
もちろんじっくりと煮れば煮るほど旨味が溶け出し柔らかくなりますが、短時間でも美味しく仕上がります。
どちらも大量に作って、白米やパスタ、パンと食べたり、チーズをかけてグラタンにしたりとアレンジのしやすいメニューです。
ちょこっと「おまけ」
レミーのおいしいレストラン
ところで、今回の料理に見覚えはありませんか?
ピクサーアニメ『レミーのおいしいレストラン』に出てくるラタトゥイユ です。
フランス語のタイトルも『Ratatouilleラタトゥイユ 』なのですが、
映画に出てくるこの料理は、ラタトゥイユ ではありません。
今日紹介した『ティアン・プロヴァンサル』こそが本当の料理なのです。
ラタトゥイユ は、トマト、茄子、玉ねぎ、ズッキーニ、ニンニクをオリーブオイルで炒めて煮込む料理ですね。一方で、『ティアン・プロヴァンサル』はこれらの野菜をオーブンでじっくりと焼く料理です。なので、映画に出てくる料理はラタトゥイユ ではなくこちらの料理となるわけです。
でも、調理法が違うだけなので馴染み深いラタトゥイユの方が選ばれたのかなと思います。
まとめ
いかがでしたか?今回は、南仏プロヴァンス料理でよく使われるハーブ『エルブ・ド・プロヴァンス』と、ハーブを使った『ティアン・プロバンサル』を紹介しました。ハーブ料理をマスターすれば料理のバリエーションもぐんと広がりそうですね。
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