伊藤忠食品は先月、ベジミートの試食説明会で、「代替え肉」商品が新たなジャンルを確立し近い将来、当たり前のように日本の食卓に並ぶだろうと話しておりました。日本では、大豆でできた「大豆ミート」が数年前から注目されベジタリアンを中心に広まっています。私も日本に住んでいる時に買って試したことがありますが、唐揚げにするとこんなにも肉の食感に類似するのかと驚いたのを覚えています。そこで、今回はフランスで買えるベジミート商品を試してみようと先日オーガニックスーパーBio c’bonさんで購入してみました。
商品紹介
Seitanは、「セイタン」と読み、グルテンを主原料に使った料理のことです。因みに日本人が名付けた親と言われています。
内容量は250g(125×2)で、簡単に食べられるレトルト食品です。
原材料は、水、小麦グルテン20.4%、濃縮トマト、小麦粉4.1%、醤油2.7%(水、大豆、小麦、食塩、発酵分解調味料)、りんご酢、麦みそ(大豆、大麦、食塩、水、発酵分解調味料)、香辛料、食塩、薬味、酵母エキス
セイタン(お肉部分)60%でソースが40%
*青マーカーが引いてある原材料は有機栽培で作られたものを使っています。
作ってみた感想
(左)ズッキーニ、にんにく、、塩、胡椒、バジルをオリーブオイルで炒める
(中)ジャガイモを茹で皮をむき潰し、豆乳、コンソメ(ベジ用)、胡椒と混ぜ合わせる
(右)マッシュルームを炒め、刻んだミニトマトとエシャロット、オリーブオイル、酢、塩と混ぜ合わせる
ズバリ、美味しくない!香辛料の味が強くて醤油と味噌の味は全く感じません。日本の和風ソースを想像していると、味のギャップに目玉が飛び出ます。「実にベジタリアンらしい健康のための食事をしている」ような気分になりました。(私はベジタリアンではありません)また、パスタを主食にソースと絡めて食べましたが合いませんでした。
このソースに美味しさがないのは、根本的に、コクを出す調味料の不足が原因と考えます。
原材料を見ると、醤油の配合は2.7%です。一食分125gだから単純計算でソースに含まれる醤油の量は小さじ1/2程度です。コクを作る成分を含むリンゴ酢、みその含有量は醤油より少ないのでこれ以下です。濃縮トマトでグルタミン酸を補い旨味は添加されていますが、少量でも味を変える作用を持つ香辛料を加えたことで完全にその旨味がかき消されたのだと言えます。
せっかく醤油と味噌を使ったのに、両方のうまみが生かされておらず残念に思いました。ところで、日本にはすでに豆腐ハンバーグが代替え肉商品として定着していますね。注目はココですよ!よく添えられる和風ソースは、きのこや大根おろしを使ったもので植物性食品だけで作れます。こうしてフランス企業自ら醤油と味噌で味付けするようになった現在、日本の和風ソースを使った商品の参入余地…個人的にはあると断言します。
こんなものまで!?ベジタリアン商品を追う
さて、フランスでは「セイタン」だけでなく、様々な商品がベジタリアンやビーガン向けに作られていて気軽に購入することができます。いくつか見てみましょう!
*写真をクリックすると中身や別の向きから撮った写真が見られます。
Faux Gras
ココナッツオイルとジャガイモなどで作られたフォアグラです。中には、1%のトリュフが含まれています。名前のFauxはフランス語で“フォ”と発音し、“嘘”という意味を持ちます。だから、フォ(ァ)グラ!
ジェノヴェーゼソース
バジルが美味しいソースですが、主原料にチーズを使うためベジタリアン対応が難しい商品でしたが、なんとパスタソースで有名な「Barilla」で乳製品一切不使用のものを見つけました。一般のソースには、羊チーズ、ペコリーノチーズ、リコッタチーズ、ホエー、バターミルクが乳製品として含まれています。
ビーガン用プロテイン(カカオ・ココナッツ風味)
植物由来たんぱく質80%(えんどう豆、発芽玄米、麻)、カカオ8%、ココナッツ4%、亜麻仁の種3%、イヌリン3%(プレバイオティクス)、ウコン2%、黒胡椒で構成されています。
アジアスーパーでベジタリアンが探していたのは?
ベジタリアンが豆腐に注目していると以前「海外の豆腐の人気レシピ一位はベジタリアン向け!?」で書きましたが、実は日本の食材はヘルシーというイメージが付いているのか豆腐以外の食材も普段使いする人が多くいます。私が以前働いていたアジアスーパーではこのようなお客様達がいました。
konjacを探してるの、「コンジャク」!パスタに使おうと思っているのだけどないかしら?
これ、しらたきのことです。アジアスーパーで働いていると、「さて、これはなんでしょう?」のクイズが突然始まります。言い間違いや欲しい商品の説明を口頭でされて、イメージして探し出すのですが、蒟蒻は特徴的な名前なのですぐ分かりました。蒟蒻→パスタ→しらたきは難易度2/5ですね。実は蒟蒻、フランスのWikipediaで調べると“Konjac” コンジャクと載っています。フランスで売られている蒟蒻を使った商品も“Konjac”が一般的なのです。フランスでは、麺の代用として使われるので板状の蒟蒻は珍しく、そのため、蒟蒻からできている麺=しらたきが“Konjac”として浸透しているわけです。
kikkomanのごまドレッシングを買いに来たんだ!前に買って食べたら美味しかったからリピ買いってやつさ。
Kikkomanさんが出している輸出商品の一つに、ごまドレッシングがあります。もともとフランスにはドレッシングが商品として売っていないので日本のドレッシングは便利さと珍しさからよく売れていました。中でもごまドレッシングは、買い求める人が多く種類も豊富に取り揃えられています。
紫のご飯にかけるのがあったわよね…Yukariだったかしら。ご飯にかけるとやみつきになるからすぐ無くなるのよね。
三島食品さんのロングセラー商品「ゆかり」は、かなり人気があります。親日家のフランス人は、間違いなく家に常備してあることでしょう。主原料は赤しそで、食塩、梅酢、砂糖が含まれています。みなさん、寿司のシャリ部分は何が使われていますか?酢と砂糖で味付けされていますよね。そこに外国人に好まれる「梅」が加われば「ゆかり」が受け入れられるのは当然のことと言え流のです。因みにフランス人はパンだけでなく白米も普通に食べます。これは、多民族国家なので食文化が混在しているためです。
まとめ
今回は、ベジミート商品セイタンを紹介しました。醤油や味噌を使った商品のクオリティは、まだ高いと言えません。ぜひ日本企業には和風ソースのパイオニアになってほしいです。
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